新田真剣佑主演「ブレイブー群青戦記-」。
三浦春馬も出演しているし、大好きな戦国時代タイムトリップものとなると、観に行かないはずがない。
まだ3週目なのに、すでに朝一がレイトショーしかなく、久々のレイトショーでの鑑賞。
春休みだから午後の時間は子供向けなのかしら。
****ネタばれあります****
そして映画序盤。
衝撃でした。
ゾンビ映画かと思ってしまうほどのグロさ。
ゾンビもホラーも苦手なので、帰りたくなったくらい…。
戦国時代タイムトリップというと、私の中では「アシガール」「信長のシェフ」「信長協奏曲」という感じなので、戦闘シーンもあれくらいのマイルドさにしてもらえた方がありがたかった。
でも実際の戦国時代はこんなのだったのかも。
殺し合いですもんね。
いや、それにしてもエグすぎる。
高校の校舎ごとタイムトリップしてしまった高校生たち。
校舎には侍たちが入り込み、次々と生徒たちを惨殺していく。
時代は桶狭間の合戦直前。
永禄3年。
(『永禄』と聞いた瞬間だけは「若君さま!」と一瞬別の世界に飛んでしまうのはアシラバの性。)
生徒たちを襲ったのは織田側。
そして人質となった生徒たちを助けるため、生き残った生徒たちが織田軍に立ち向かうというストーリー。
予告では、アメフトとか野球とか空手の恰好をした高校生が戦国の世で戦う絵面だったから、勝手にコメディタッチだと思ってたよ。
それが中盤でも、終盤でも、それまで結構メインキャラの一人だった生徒たちまでもがどんどん殺されていくし…もうやだ。
最後は生き残った生徒たちは元の時代には戻れたけど、死んでいった子たちは?
元の時代に戻った後は、以前と変わらない平和な高校生活の雰囲気だったけど、
“生徒の大半が殺されたのに、そんな元通りになるわけないやん”
と突っ込み。
中盤からは、
“これは元の時代に戻ったら、時空のはざまだったからという理由で、全員生き返って戦国の記憶もなくなってるってパターンか”
と期待していた(ハッピーエンドが好きなので)けど、そうでもないみたい。
なんだかいろいろと腑に落ちない映画でした。
映像も脚本もどうにもしっくりこなかった。
でも、演者さんはすばらしかった。
やっぱり筆頭は松平元康演じる三浦春馬と、織田信長演じる松山ケンイチ。
スクリーンに映るだけですべてを乗っ取ってしまう。
松平元康はまだ若かりし頃の家康なので、屈託のない表情を見せる。
「先の世から来た」
という言葉も柔軟に受け入れる。
それでいて、未来の自分のことは
「聞いてしまってはおもしろくない」
と言わないように押し留める。
厳しい戦国の世に生きながら、自らの人生、宿命を楽しんでいるみたい。
すごくいい顔。
のちに平和の世を導いた徳川家康はこういう真っすぐな人だったのかもと思わせる。
織田信長は、まだ桶狭間前なので、天下統一は夢の頃だけど、すでに家康とは対照的な冷酷な雰囲気。
その松山ケンイチの表情もまた良き。
それほど出番が多いわけではないにも関わらず、ポスターなどではこの二人が前面に押されているのは非常に納得。
大高城の兵糧入れを軸にこの二人を主演にして、作品を作っていただいてもよかったのですが。
直接対決はしてないからそれは無理があるかな。
新田真剣佑は、好きなんだけど、今回の役はちょっと消化不良。
なぜあんなに自分を信じられないのかと、一所懸命になれないのかとかがうまく伝わらなかった。
過去に何かトラウマになるようなことがあったのかとも思ったけど、そのあたりもわからず。
演技のせいではなく、脚本かな。
元康と「一所懸命」の話をするシーンは良かったけど、それでも消化不良。
あそこはもう少し掘り下げてもよかったように思う。
結局、ゾンビシーンに時間をかけ過ぎた挙句、人質を救出しないといけないわ、主人公の心のうちを描かなきゃいけないわ、桶狭間の史実の説明もしなくちゃいけないわで、軸がぶれて、すべてが中途半端に終わってしまったように感じた。
生徒たちがかわいそうすぎて、結構泣くことはできたからデトックスにはいいかも。
ただ感動の涙ではないから、心に迫るものはなし。
また観たいとは思わないんだけど、三浦春馬と松山ケンイチの出演シーンだけは観たい。