お誕生日に向けて、
アドベントカレンダーもどきを
しているのですが、
そのおかげで懐かしい彼に
また会ってきました。
デビュー作「昼顔」の木下啓太。
初めての作品とは思えない圧倒的な存在感。
オーディションで彼を選んでくれた方には
感謝しかない。
*****ネタばれあります*****
大人を信じていない高校生。
大人どころか、友だちや彼女ですら
誰も信用していないんじゃないかな。
母親が若い男と恋に落ちて、
彼を置いて出て行ってしまったことで
心に大きな傷を抱えている少年。
うん、少年。
年齢と体は高校生だけど、
心は母親が恋しくて仕方がない子ども。
だから大人の色恋ごとには虫唾が走る。
担任教師北野が結婚しているにも関わらず、
人妻と恋をしていることに気付き、
破滅に追い込もうとする。
でも北野がいつも親身になって
自分のことを心配してくれていることも
心のどこかではわかっている。
飄々といつも大人を冷めた目で見て、
バカにしていたはずなのに。
そんな彼の感情が突然爆発します。
「なんでみんな俺を捨てんだよ!」
引用:ドラマ「昼顔」
北野の道ならぬ恋が学校にばれ、
学校を去ろうと姿を消したことを知り、
暴れる啓太。
信じていたのに、
捨てられたと思ったんだね。
母親のときと同じように。
感情を爆発させる姿が切ない。
誰か受け止めてあげてほしい。
大人の恋のドラマなのに、
なぜ高校生の啓太が語られるのか。
人の心は自由だから。
結婚という事実よりも
恋を優先したいのならそれも一つの選択。
でもね…子どもがいたら話は別。
その恋が子どもの人格や生き方に
影響を与える可能性は高い。
親には子どもを健やかに育てる
責任がある。
北野と紗和の恋は
結婚しているという現実を乗り越えて
貫き通したい究極の純愛みたいにもみえる。
でも、それは子どもがいないから
美しく見えるだけ。
だから啓太を登場させた。
母親が自分より恋を優先したことで
傷ついている子どもがいる。
それでも恋を貫くべきか否か。
そう問いかける。
そこを実の子どもにすると
北野と紗和の恋の透明感が
なくなってしまうから、
教え子啓太に代弁させたんじゃないかな。
啓太はキーパーソンだと思ってます。
そして綺麗ごとの挨拶だけで去ろうとする
北野に痛烈な一言。
「俺、あんたから
まだなんも教わってねぇぞ!」
引用:ドラマ「昼顔」
そうだよねぇ…
うわべだけの言葉から
教わることなんて何もない。
傷つけられただけ。
そのまま教室から去る北野を見送る
啓太の茫然とした顔がたまりません。
また裏切られた。
しかも母親と同じ道ならぬ恋が理由で。
でも北野はその言葉に応えます。
大切な教え子に何も残せないどころか、
さらに大人を信用できない人間に
するわけにはいかない。
校内放送で、愛について
自分の想いを包み隠さず語る北野。
「相手の幸せを願い続ける…
それこそが心を持ったホモサピエンス、
人間という生物の愛なんだと。
だから君たちには
いつか誰かを真剣に愛してほしい
…そう願っています。」
引用:ドラマ「昼顔」
その声は啓太の心に響いた。
その声を聞きながら
そっと持たれてくる彼女の頭を
すっと手でよける仕草が好きです。
どんなに熱いキスをしても、
今の恋が真実の恋ではないことは
わかってるから。
放送室から出てきた北野に伝えます。
「俺、ちゃんと高校卒業すっから。
まだ母親に会う気にはなれねぇけど。」
引用:ドラマ「昼顔」
少し大人になったのかな。
母親を許せとは言わないけど。
でも母親の行動にも
彼女なりの理由があったはず。
そしてその行動に
自分の将来まで左右されることはないって
思えるようにはなった。
道ならぬ恋は周りの人を傷つける。
だから肯定はしない。
でも真剣に人を愛する気持ちが
啓太を救うことになったのなら、
少しだけ意味のあるものだったかな。