つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

デメキン~あんたに嫉妬したんよ~

とても嬉しいお知らせがあって、

まだ気持ちは浮かれています。

そして観たくなったのはこれ。

 

伊藤健太郎映画初主演作品

デメキン

 

彼自身も振り返るときこの作品を観ると

言っていたなと。

とても大切な作品だと。

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出典:映画「デメキン」公式Twitter 

 

*****ネタばれあります*****

デメキンって、

今日俺と同じヤンキーものだけど、

ちょっと描写がエグイ。

同じ血みどろの姿なんだけど、

リアリティがある。

 

鼻血なんてかわいいもので、

根性焼きに日本刀に段ボール箱

どつかれ方もまた酷い。

 

それなのに不思議なほどの透明感と

静けさを備えているのが正樹。

 

言葉も荒いし、

粗暴な振る舞いも多いのに、

なぜそのように見えるのか。

 

意を決した時の眼差しのせいかなと。

 

いつもはふにゃふにゃ

歩いている正樹なのに、

ここぞというときは、

真っすぐに前を見据える。

 

“静”

 

デメキンと呼ばれるだけあって、

その瞳は大きく飲み込まれそう。

 

本人はデメキンとは

呼ばれたくはないだろうけど、

その瞳は人を魅了するに十分だと思う。

 

静寂を作り出すものは決して濁らない。

 

正樹が前を見据えるシーンは

いくつもあるけれど、

選ぶとするなら好きなのはこの2つ。

 

厚成がやられた後、

トイレで鏡に映る自分を見る眼差し。

 

悔しさと憎しみ。

 

もちろん敵に対する憎しみは大きいけれど、

それ以上に自分へのいら立ち。

 

厚成は子どもができ、

チームを抜けてほしいと

アキに頼まれていた。

それでも一人敵陣へと乗り込んでいった。

 

総長になったばかりの自分のために。

 

もうすぐ抜けなければいけなかった

厚成の焦りもあったのだと思う。

 

それに気づけなかった自分への怒り。

 

「お前にな…俺の何がわかるんか」

引用:映画「デメキン

  

そう言った厚成の言葉が

正樹の脳裏には蘇っていた。

 

わかりあえていると思っていたのに、

自分だけが何もわかっていなかった。

 

そしてもう一つが、

仲間とともに、決戦に向かうとき、

特攻服を翻しながら廊下を歩く姿。

 

トイレでは自分を憎み、

こらえようのない感情に

囚われていたけれど、

このときはすでに違う。

 

厚成の仇を取ると決め

彼の目の向こうに映るのは

ただ敵の姿のみ。

 

進むべき道を見つけ、

ただそこを突き進む。

 

その背中には仲間たちがついている。

どんなに劣勢でも負けるはずがないと

思わせる。

 

これが人の上に立つことのできる人間。

 

正樹は言葉では語らない。

 

目だけですべてを語る。

 

正樹は伊藤健太郎にしかできないなと。

 

 

でもやっぱり言葉も語りたいので

ひとつだけ。

 

「あんたに嫉妬したんよ、そのとき。

 あんたがどう言おうと、

 俺はこいつの仇を取る」

引用:映画「デメキン

  

怪我を負った厚成に

付き添うアキへの一言。

 

厚成のこと、

本当に大切なんだなぁって。

 

そして厚成が大切にしている

アキのこともちゃんと

大切にしているなぁって。

 

”嫉妬”という言葉が

こんなに素敵に聞こえることなんて、

そうそうない。

 

かわいい彼女ができた厚成に

嫉妬したんじゃなくて、

厚成に大切にしてもらっている

アキに嫉妬したって。

 

愛の告白ですよ。

 

このあとどうなるかわからない

命がけの戦いに向かう姿なのに、

なんだか心が温まる。

 

だから映画『デメキン』は

ただ生臭いだけの暴力映画には

決してならない。

 

何度でも観たくなる。

正樹と厚成に会いたくなる。