最近、いろいろな嬉しいお知らせが続き、
この数か月のことを考える。
そんなとき、
やっぱり思い出すのは弘徽殿女御さま。
映画「十二単衣を着た悪魔」は
公開すら危ぶまれる中、
延期されることもなく公開された作品。
この作品の公開が
大変な時期の心の拠り所となった。
そして、女御さまの言葉の数々に
力をいただいてきたなと。
*****ネタばれあります*****
女御さまが六条御息所に語ったこの言葉。
「つまらぬものに負けてはなりませぬぞ」
出典:映画「十二単衣を着た悪魔」
前は“つまらぬもの”は、
六条御息所を揶揄する
周りの人たちのことかと思っていた。
でも、それは少し違うのかなと。
今は六条御息所の内に
あるもののように感じる。
心が離れた光を想うあまりに
生霊となり、正妻を呪い殺したとの
周りからのささやき。
そのささやきが
”つまらぬもの”ではない。
そのささやきを信じ込んでしまう、
自らの心の弱さが女御さまの語る
”つまらぬもの”
なのではないかと。
“自らの心の弱さに負けずに
強く生きていきなさい”
と女御さまは六条御息所に
伝えたかったのだと今はそう思う。
実際、弘徽殿女御はその生き方を貫いている。
「皆、私を誰からも愛されない
不幸な女と思うだろう。
だが、私は欲しいものは
自分から掴みに行った。
守りたいものは自分で守った。
私の生き方は私が決める。」
出典:映画「十二単衣を着た悪魔」
女御さまは自らのうちにある
”つまらぬもの”には負けなかった。
自分の生き方を貫き、
その生き方に後悔はない。
とはいえ、女御さまといえども、人。
自らの内なる弱さに
負けそうになったこともあるだろう。
「人は必ず老いる。時代は変わる。
いつまでもこの状態が続くわけではない。
若い者には負ければ良いのだ。」
出典:映画「十二単衣を着た悪魔」
女御さまの一番の強さはここにあると思う。
変化を当然のものと考え、
負けることをも受け入れる。
ものごとには
すべて終わりがあると知っている。
永遠ではないことがわかっているから、
つらいことであっても凌げるのではないかと。
この世をひとときの幻と
捉えることができるから、
栄華にすがることなく
引き際を受け入れることができる。
「そのときまで、
やれることもやれぬこともやって
私は生きる。」
出典:映画「十二単衣を着た悪魔」
さまざまな経験を積んだからこそ
言える言葉。
こういう風に考えることができるなら、
年齢を重ねることも悪くない。
そしてまだ年齢は重ねていない
彼にも伝えたい。
いつまでもこの状態が続くわけじゃない。
やれることもやれぬこともやって、
自らの道を進んでいってほしい。