つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

ドン・ジュアン

公式サイト:

www.don-juan2021.jp

 

久しぶりの観劇。

藤ヶ谷太輔主演「ドン・ジュアン

やっぱり生の舞台の雰囲気はいいなぁ。

 

映画には映画の良さがあるけれど、

舞台には匂いとざわつきを感じます。

幕が開いたときの感覚は

なにものにも代えがたい。

 

*****ネタばれあります*****

この舞台の最初の衝撃。

とにかくキャストの歌が上手い。

 

わかってはいたはずなのに

ただただ圧倒。

 

その道で食べている方々なので、

上手いなんて当たり前すぎて、

それを語ることが

失礼かもしれないけど、

凄かった。

 

一人だけじゃなくて、

全員が上手いって…。

 

序盤、主役は登場せず、

藤ヶ谷くんは

この中に入って大丈夫なのかと

ちょっと心配になってしまった。

 

そして主役登場。

 

問題なかった。

 

確かに他のキャストさんに

引けを取らないかというと、

それは言えない。

比べるレベルが高すぎる。

 

でもやっぱり華がある。

存在感がある。

 

さすがアイドルとして

幼い頃からこの世界で生き抜いてきた人。

 

”ジャニーズ”、”アイドル”という看板に

実力のない顔だけの存在と

決めつける人も多いけれど、

そこで生き残ることが

どれだけ難しいことかと

そろそろ認めるべきだと思う。

 

作品は女たらしの

ドン・ジュアンの物語。

 

恵まれた境遇に生まれながらも

愛に飢え、

それをごまかすかのように

女をもてあそぶ男。

 

酷い男だとみんな評しながらも、

惹かれざるを得ない魅力を持った男。

 

男も女も魅了してしまう人たらしって

どれだけ男っぽくても

隠しきれない色気がある。

 

藤ヶ谷太輔が選ばれた理由が

なんだかわかる。

 

ドン・ジュアンは快楽に生きる。

なにものにも執着しない。

自分の命さえ

おそらく惜しいとは思っていない。

 

そんな彼が一人の女と恋に落ち、

真実の愛に目覚め

そしてその愛ゆえに命を落とす。

 

昔からよくある物語。

 

結末もわかっているのに、

それでも夢中で観てしまう。

 

やっぱりあれだな…

 

誰も愛せなかった男が

突然一人の女を追い求める。

その狂おし気な表情にときめく。

 

観客はその女になった気に

なるんじゃないかと。

誰のものでもなかったモテ男が

自分だけを追い求めているような

錯覚に陥る感覚。

 

結局みんな自分は特別な存在で

ありたいから、

妄想の中で満たされる。

 

そして自分のために

死んでいく男に究極の愛を感じる。

 

これが現代劇だと

実生活の記憶に邪魔されて

嘘くさく感じることもあるけれど、

時代背景の違うセビリアの熱さの中だと、

その世界に取り込まれてしまう。

 

しあわせな時間としか言いようがないな。

 

これは映画やドラマでは味わえない感覚。

やっぱり観劇はやめられない。

 

ドン・ジュアンの話に戻すと、

最後彼はなぜ死を選んだのか。

 

相手の男を殺すことも、

異国の地に逃れることもできた。

 

亡霊の呪い。

それで片づけてしまうのもちょっと寂しい。

 

自ら命を落とすことで、

彼女の記憶に遺り続けることを選んだのか。

 

一緒に生き続ければ

嫌なところも見えてしまう。

愛が消えることもあるだろう。

 

肉体が消えてしまえば、

二人の時間は止まる。

愛し合っていたときで止まる。

彼女は決して彼を忘れることはない。

 

でも彼女はしあわせにはならない。

きっと自らを責め続ける。

 

本当に相手のことを想うのであれば、

彼女が愛する自分のことも

大切にするべきだった。

 

愛を知らずに育ったから

そのことに気づかなかったんだね。

 

ただずっと彼女の中に遺ること…

それが彼の一番の願いだったかのかも

 

ドン・ジュアン

やっぱり酷い男だよ。

そして哀しいね。

 

 

余談ですが、

パンフレットの

フォトグラファーは

Leslie Kee。

 

怪しげな艶めかしさが

この作品の世界観にハマっています。

 

お値段お高めなので、

少し躊躇しましたが、

写真集としても素晴らしき

クオリティかと。

 

ちょうどこの直前に見た

TV Personの

伊藤健太郎作品にも

繋がる世界。

 

藤ヶ谷太輔伊藤健太郎

年齢差ちょうど10歳。

 

染みついたものもなく、

青臭いところもない。

 

二人とも何の違和感もなく

その世界に組み込まれている。

 

年齢なんてただの数字だとつくづく思う。