つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら~3杯目~

 

石丸さんと千代ちゃん

もういろいろと語りたいような…

 

でもみなさま

それぞれの思い入れが強いので

語るに落ちてしまうような。。

 

 

でもやっぱり語りたい二人なのです。

 

*****ネタばれあります*****

 

石丸と千代の出会いは切ない。

 

出会ったときから

すぐに永遠の別れが来ることは

わかっていたから。

 

わずか1か月の邂逅。

 

二人が言葉を交わすシーンも少ない。

 

でもなぜか二人が

惹かれあっていることがわかる。

 

きっと千代ちゃんが

心から嬉しそうに

石丸さんのことを話すからかな。

 

そして石丸さんが千代ちゃんを

愛おしげに見つめるからだろうな。

 

千代ちゃんはほんとにかわいい。

 

おとなしそうに見えるけど

自分の気持ちにまっすぐで

正直にふるまえる子。

 

そうじゃなかったら

石丸さんに胸の刺繍を

見せたりできないもの。

 

だからこそ

千代ちゃんの気持ちは

石丸にまっすぐに届いてる。

 

劇中には描かれていないけれど

基地にお世話に行ったとき

二人の時間もあったと思う。

 

石丸は

“ありがとう”って

優しく微笑んだんだろうな。

 

基地での野球の応援。

二人で交わしただろう

言葉も聞きたかった。

 

彰と百合みたいに

二人でお出かけしてたりして。

 

石丸なら千代ちゃんを

どこに連れて行ってあげるのかな…

とか

考え始めたらキリがない。

 

二人がいつも笑顔だから

しあわせな時間のことばかり

想像してしまう。

 

でもそれは二人の強さの証。

それはみんなわかっている。

 

辛い運命が待ち受けているからこそ

今だけは彼に笑顔を見ていてほしい。

 

旅立つものは

自分の笑顔だけを覚えていてほしい。

 

相手を想うその気持ちが

二人を笑顔にする。

 

もう書きながら泣きそう。

 

出撃が決まった日。

 

千代ちゃんが

鶴屋食堂に入ってきた表情だけで

すべてを察することができる。

 

それだけ千代ちゃんは

笑顔をがんばってきたんだね。

 

その日がくることはわかっていた。

石丸の覚悟も知っている。

 

それでも

その日は来てほしくなかった。

 

最後の宴の夜。

 

帰り際、石丸は優しく声を張る。

 

「千代ちゃーん、行っちゃうぞー。」

 

この一言で涙腺崩壊。

 

宴の間

千代が奥にいるのはわかっていた。

でも姿を見せない。

 

きっと石丸は

千代が姿を見せるのを

ずっと待っていたんだろう。

 

楽し気に笑い、歌いながらも

心は千代を待っていたと思う。

 

帰る間際となっても現れない千代に

たまらず声をあげた。

 

最後に一目、顔が見たい。

言葉を交わしたい。

 

その声のかけ方も

また石丸らしくてたまらない。

 

それでも出てこない千代。

 

あきらめたようにふと笑い

千代がいるだろう場所に背を向ける。

 

石丸はこうやって

笑って

いろんなものを

あきらめてきたのかと思うと

心が締め付けられる。

 

でも千代ちゃんは

ちゃんと出てきてくれましたね。

 

素敵な贈り物と共に。

 

千代ちゃん人形。

チビ千代ちゃん。

 

「お前、一緒に行くか?」

とチビ千代ちゃんに声をかけて

 

石丸らしい腹話術で

「うん、石丸さんと一緒に行くー」

って。

 

千代ちゃんと

ずっと一緒にいたい気持ちを

千代ちゃん人形に託して伝えたのかな。

 

一瞬の表情に石丸の想いが刻まれる。

 

そして一番伝えたかった言葉。

 

「君は絶対しあわせになる。」

 

断言。

 

「しあわせになりますように」

でも

「しあわせになって」

でもなく

「絶対にしあわせになる」

 

なんだか石丸らしいですよね。

 

言葉には魂があり力がある。

 

願いを持って発した言葉は

必ず現実となる。

 

だからきっと千代ちゃんは

しあわせに生きたと思う。

 

でもやっぱり石丸には

 

「君をしあわせにする」

 

と言ってほしかった。

 

あと1カ月余りで戦争は終わる。

 

そのわずかな時間さえ生き延びれば

二人のしあわせな未来は訪れるのに。

 

決してバッドエンドとは

思わないけれど

二人でしあわせな未来を

生きてほしかったのも本音。

 

石丸さん、きっと魚屋さん似合うよ。

 

千代ちゃんと所帯を持って

野球チームができるくらい

子どもをたくさん作ろうと言っては

笑っていてほしい。

 

でもそれはきっと石丸には

“選ぶことができない未来”

なんだろうな。

 

戦争が憎いです。

 

軍国主義を掲げ

”自分のことよりお国のため”

“お国のために全てを捧げよ”

との教育を施した人たちは

間違っていた。

 

そう思います。

 

国民一人一人が

自らのしあわせを

求めることができない国に

繁栄はない。

 

でもこの過ちに気づいたからこそ

今、わたしたちは

平和な世界で生きている。

 

平和な世界が

当たり前ではない時代が

あったことを忘れてはならない。

 

石丸を見送る千代ちゃんの

泣き笑いの笑顔。

それを見つめる石丸の最後の笑顔。

 

きっと二人の心には

笑顔だけではなく

忘れることのない

すべての表情が焼き付いて

息づいていると思う。

 

映画「十二単衣を着た悪魔」

この作品のラストシーンが大好きです。

 

ご都合主義と言われるかもしれないけど

救われた気がしました。

 

石丸さんと千代ちゃんにも

こういう未来が訪れますように。