つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

コーヒーが冷めないうちに

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出典:映画「コーヒーが冷めないうちに」公式Twitter

穏やかな時間が流れていそうな映画だったので、観た映画

 

過去に遡ることができる喫茶店

ただ過去に滞在できるのは飲んでいるコーヒーが冷めるまでのわずかな時間。

場所も喫茶店からは出られない。

そして過去に戻れたとしても過去を変えることはできない。

それなのになぜ人は過去に戻りたいと思うのか。

 

普通タイムスリップものって、

現在を変えるために過去に戻るというのが

多いのに珍しい設定。

物語が進むうちにわかった。

過去に起きた事実は変えられないけど、

それを受け止める側の人間の心は変えられるということを伝えたいんだと。

人は心が変われば、すべてが変わる。

 

軸となる物語は4つ。

今は会えない大切な人にもう一度会いに行く物語ばかり。

 

過去は変えられないとわかっていても、みんな過去に戻る。

そして失った大切な人と会話を交わすことにより、何かを得て帰ってくる。

過去は変えられないけど、現在の自分は変わることができる。

現在の自分が変わるということは、未来を変えることはできる。

 

失ったものは元には戻らないけど、

そこから新たな芽を繋いでいく再生のものがたり。

穏やかでノスタルジー溢れる時間。

一見昭和の遺物のようにもみえる喫茶店だけど、未来であふれている。

 

小説や舞台のファンの方にとっては、

数ちゃんと新谷くんのシーンが多く、

ただのラブストーリーにも見えてしまい

賛否両論のようにも思うけど、私は好き。

 

いいお話だった。

ゆったりとした空気の流れる物語は癒される。

 

 

でも私個人の衝撃は、

始まって50分過ぎたころの

伊藤健太郎演じる新谷くんの猫とじゃれる姿

と笑顔、

そのあとのとまどう表情。

完全に射貫かれました…。

ずっと気になっている俳優さんではあったけど、完全に沼堕ちです。

 

このあとも新谷くんのすべてのシーンでの表情、言葉がほんとにいい。

普通の大学生を演じているのに、ふとした表情に目が惹かれる。

 

有村さん演じる数が自宅でコーヒーを入れる姿にはにかむ顔。

苦手なピクルスをこっそり隠す顔。

パスタをほおばりながらとまどう顔。

 

そして雪山で

「他人を幸せにするといつか幸せが自分にも帰ってくる」

と数に告げる表情。

キスする前に一度天を仰ぐ仕草もすべてがいい。

 

時間があったから観ただけでそれほど期待していた映画でもなかったのに、

運命の出会いをしてしまった気分。

この作品で

日本アカデミー新人賞を受賞。

うん、わかる。

あの表情ができる俳優さんはそうそういない。

 

しばらく伊藤健太郎を追いかける。