つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

十二単衣~母としての弘徽殿女御~

映画「十二単衣を着た悪魔」の

Blu-ray&DVDの発売が

とうとう決まりましたね。

 

待ちに待った作品の円盤化なので、

浮かれております。

そして母の日の季節ということで、

稀代のゴッドマザー弘徽殿女御の言葉を。 

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出典:映画「十二単衣を着た悪魔」公式Twitter

 

*****ネタばれあります***** 

「春宮も並みの子ではない。

 二倍、三倍の努力をすれば

 光にも藤壺の子にも

 勝つことができる。」

引用:映画「十二単衣を着た悪魔」

  

名言だらけの女御様なのに、

なぜこの言葉なのか。

 

頭脳明晰で完璧な分析力、

対応力を持つ弘徽殿女御なのに、

唯一息子春宮のことにだけは、

フィルターがかかってしまう。

 

女御様も母なのだと感じるのです。

 

そして自信に満ちた表情で語る女御様と

対照的な雷の哀し気な表情が

また心に刺さります。

 

雷は女御様と自分の母親を

重ねてしまったんだろうなと。

 

就職活動に苦戦する自分を

励まし続けてくれた母。

絶対に雷を否定しない。

できのいい弟と比べることもしない。

 

でもその期待と優しさが重い。

 

雷は知っているのです。

 

人には

生まれ持って与えられたものがある。

努力だけではどうにもならないことが

あるということを。

 

まぁ、雷ちゃんは

途中でひねくれてしまったので、

努力もそこまでしていないけれど。

 

春宮は天皇になるため、

母を喜ばせようと必死の努力をしている。

でも光の君には遠く及ばない。

 

その事実を受け入れることが

できないのが母としての弘徽殿女御。

 

母の期待に応えたいが、

それが叶わない春宮の哀しみが

雷には痛いほどわかってしまう。

  

母は子のことを想い、

子は母を想っているのに。

哀しいですね。

  

そして弘徽殿女御は

自分の身分と引き換えに

春宮を天皇にすることに成功する。

 

必死に止める春宮を

こんな言葉で振り切って。

 

「あなたは優しすぎます。

 弱すぎます」

引用:映画「十二単衣を着た悪魔」

  

この言葉はキツイよ。

優しい息子って最高ですよ。

春宮は弱くないし。

 

自分を犠牲にしてでも

我が子を守りたい親心はわかるけれど。

 

即位する春宮の感情を失った顔と、

嬉し涙をこぼす女御様がまた対照的で。

 

我が子を天皇にまで押し上げた

女御様はこう語ります。

 

「皆、私を誰からも愛されない

 不幸な女と思うだろう。

 だが私は欲しいものは

 自分から掴みにいった。

 守りたいものは自分で守った。

 私の生き方は私が決める。」

引用:映画「十二単衣を着た悪魔」

  

大好きな言葉です。

私もこうありたいと思う。

 

でも女御様は自らの生き方を貫いて

幸せだと思うけれど、

春宮はどうなんだろうと。

 

春宮は自分の生き方を

自分で決めれてはいない。

 

もし自分で決断できたならば、

きっと自分が天皇になるよりも、

母を皇后として国の母にしたかったはず。

 

しばしば心理学者アドラーの言葉を

見かけるのですが、

親子間の『課題の分離』が

女御様にはできなかったんだなと。

 

“光にも藤壺の子にも勝つことができる”

と言っている時点で、

すでに代理戦争になっている気がするし。

 

女御様は政治家としては完璧で、

全てを手に入れた人だけれど、

母としては普通の母親なんだなと。

 

ちょっと親近感です。

でも子育てについては反面教師かな。

 

わが子とはいえ、

自分の人生ではないですもの。

子どもは親の所有物じゃない。

人生はその人だけのものです。

 

大好きな弘徽殿女御様だけど、

春宮との関係については、

春宮の味方になってしまいます。

 

と、円盤発売の知らせに

浮かれ過ぎていたので、

ちょっと真面目に語ってみました。

 

次はキュンキュンワードにしよう。