つれづれなるままに~じゃないけどかたりたい

映画やドラマについての思いを語ります。伊藤健太郎くん多めです。

グリーンブック

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出典:映画「グリーンブック」公式Twitter 

アカデミー賞受賞作品。

昔は洋画ばかり観ていたけれど、

最近は邦画ばかり。

 

伊藤健太郎絶賛の作品でも、

どうも触手はそそられず、

結局映画館には観に行かずじまいでした。

 

とうとうAmazonプライムに入り、

自宅でも観られるようになったので、

ちょっと観てみようかなと。

 

おもしろかったです。

 

何がどうとか

具体的にうまく説明はできないけれど、

おもしろかった。

 一気に世界に引き込まれました。

 

*****ネタばれあります*****

1960年代アメリカ。

まだ黒人差別が根強い時代。

 

アフリカ系アメリカ人に対して

差別意識を持つイタリア系アメリカ人トニーが

アフリカ系アメリカ人ピアニスト、

ドンの運転手として雇われ、

アメリカ南部を旅するロードムービー

 

50年前のアメリカ。

少しずつ人種差別は良くないという風潮が

出始めてはいたけれど、社会生活の中に

差別が当たり前に存在した時代。

 

何の予備知識もなく観始めたので、

映画のタイトルが何を意味するのかも知らなかった。

 

「グリーンブック」

自動車で旅行する黒人を対象とした旅行ガイドブック。

 

言い換えれば、この本に載っていないホテルに

黒人は泊まれない。

 

バーで飲むだけで暴力を振るわれ、

レストランで食事をすることもできない。

できるのは“黒人専用”と書かれた場所でのみ。

 

生まれ持った肌の色だけで

区別される社会。

 

知識としては知っていても、

実際に映像として見せつけられると

怖かった。

単一民族の日本には存在しない世界。

 

人間には誰かを虐げ、貶めることによって、

自分が優位に立てると思い込む傾向がある。

 

誰かを貶めたからといって、

自分の価値が上がるはずはない。

実際にはさらに

自らを貶めているだけなのだけれど。

 

ドンを歓迎しているように見える

白人たちの、心のうちも透けてみえる。

 

黒人ピアニストを受け入れている

自分たちは寛大な人間だと。

 

自分たちは優れていると

ただアピールするために、

ドンを利用している。

 

そこにはさまざまな背景があって、

きちんと差別問題を学んでいない身では

安易に語ることはできない。

 

差別は良くないとわかっているはずなのに、

黒人を差別することはごく自然なことだと

考えられていた社会。

 

きっと正論だけで語ってはいけないのだと思う。

 

一方差別される側の黒人も

コミュニティを持ち、

その中では自由に過ごしている。

 

生まれもった環境を受け入れることで

生きる場所を得られるのであれば、

それも一つの生き方。

 

でもドンは黒人のコミュニティにも入れない。

白人からは差別をされる。

 

どこにも居場所がない

 

必死に努力をして貧困から抜け出したのに、

待っていたのは孤独。

 

どれだけ富を手に入れても、

幸せを感じることができない。

 

一方のトニーは孤独とは無縁の人物。

 

愛しい妻とかわいい子どもたちと暮らし、

イタリア系らしいファミリーたちがいる。

お金はないけれど。

 

トニーも最初は黒人への差別意識があった。

黒人の作業員が使ったコップを

ゴミ箱に捨ててしまうほどに。

 

しかしともに旅をするうちに

変わっていく。

 

肌の色ではなく、

ドンその人そのものを理解していく。

そして、黒人差別をする人たちから

ドンを守る存在となる。

 

仕事としてではなく、友人として。

 

差別問題を問う映画でもあるけれど、

そこにある友情の物語が深かった。

変わっていく二人の心情が伝わってくる。

 

最後、トニーの家にドンが訪れる。

トニーのファミリーたちも

黒人への差別意識はある。

 

でも快く自然と迎え入れた。

トニーの友人だから。

 

愛を知る人たちはいろいろなものを

受け入れる器を手に入れているんだなと。

 

心が温まる良き作品に巡り会えた。